チュートリアル > 測定 > 上級測定
測定
上級測定
本製品には3つの異なるトリガサブシステム(TRANsient、SYNChronize、ACQuire)があります。通常、SCPI仕様では各トリガサブシステムを番号付けされたトリガシーケンスとして分類するので、それぞれSEQuence1、SEQuence2、SEQuence3にマップされています。
シーケンス3(ACQuire)グループは測定のトリガサブシステムです。
シーケンス3グループでは、測定の開始とデータ照会を分離して制御できます。
状態
シーケンス動作では、3つの状態(IDLE状態、INITiated状態、WTG状態)があります。
本製品の電源投入時には、全てのトリガサブシステムはIDLE状態です。この状態では、トリガサブシステムはすべてのトリガを無視します。以下に示すコマンドのどれかを送信すると、トリガサブシステムはいつでもIDLE状態になります。
IDLE状態では、TRGを送信してもシーケンス動作は開始されません。
:ABORt(自動継続モードがオンの場合には、:INIT:CONT OFF;:ABOR)
IEEE488.1 sdc(Selected Device Clear)またはdcl(Device Clear)
IDLE状態の時にINITを送信すると、トリガ機能が開始されてINITiated状態になります。
トリガソースがIMMediateの場合には、ただちに測定を開始します。
トリガソースがBUSの場合には、トリガを待つWTG(Waiting for Trigger)状態になります。
WTG状態の時にトリガを送信すると、測定を開始します。
自動継続モードをオンにするとINITコマンドを毎回送信しなくても測定データを自動更新します。通常は自動継続モードをオフ(デフォルト)にして使用して下さい。
ファームウェアバージョン1.19以前のPCR-Mシリーズをご使用のお客様はこちらを参照してください。
シーケンス動作自動継続モードをオンに設定した場合
トリガソースがIMMediateのときには、即座に変更/測定を開始します。終了後は、新規の変更/測定が自動的に開始します。この状態では、MEASure/READ/FEChクエリはすべて同じように動作します。複数回のFETChクエリが異なる測定結果をもたらして、同時性が失われます。
トリガソースががBUSのときには、ソフトウェア・トリガを待って変更/測定を開始し、終了後は次のトリガ待ちになります。
中断されてもトリガサブシステムが自動的にIDLE状態を抜け出すため、測定機能に対するABORtコマンドは無効になります。
シーケンス動作自動継続モードをオフに設定した場合
現在進行中の変更/測定はABORを送信しない限り継続されます。新規の変更/測定は自動継続されません。
電圧/電流/電力測定
新規測定を開始するにはトリガソースにIMMediateを選択して、INITiateコマンドを使用します。
:TRIGger:SEQuence3:SOURce IMMediate | 'トリガソースをIMMに設定 | |
:INITiate:IMMediate:SEQuence3 | 'シーケンス3のイニシエート |
シーケンス3グループがソフトウェアトリガで測定を開始する場合には、トリガソースをBUSに変更します。
:TRIGger:SEQuence3:SOURce BUS | 'トリガソースをBUSに設定 | |
:INITiate:IMMediate:SEQuence3 | 'シーケンス3のイニシエート | |
:TRIGger:SEQuence3:IMMediate | 'シーケンス3にソフトウェアトリガを与える |
測定が完了すると、測定データはFETChクエリで取得できます。
:FETCh:VOLTage:AC? | 'AC電圧の問い合わせ | |
:FETCh:CURRent:AC? | 'AC電流の問い合わせ | |
:FETCh:POWer:AC:REAL? | 'AC電力(有効電力)の問い合わせ | |
:FETCh:POWer:AC:APParent? | 'AC電力(皮相電力)の問い合わせ |
TRIGger:SEQuence3:SOURceはトリガソースをBUSまたはIMMediateに設定します。INITiate:IMMediate:SEQuence3はトリガサブシステムをIDLE状態から抜けてトリガ機能を開始(イニシエート)します。
トリガソースがIMMediateに設定されている場合には、測定動作はすぐに実行されて新規測定を開始します。トリガソースがBUSに設定されている場合には、トリガサブシステムはWTG(Waiting For Trigger)状態になります。TRIGger:SEQuence3:IMMediateまたは*TRGコマンドによってソフトウェアトリガが与えられると、測定動作が実行されます。動作が完了すると、トリガサブシステムは再びIDLE状態に戻ります。トリガを実行しないでABORtまたは同等なコマンドが送信されると、測定動作はキャンセルされてトリガサブシステムはIDLE状態に戻ります。
ABORtコマンドとIEEE488.1 sdc/dclコマンドは現在進行中の測定動作を中止します。既に取得済みの測定データを無効化する機能はありません。*RSTと*RCLコマンドは測定動作を中止するだけでなく、取得した測定データを無効化します。*RST;:FETC:VOLT:AC? コマンドを送信すると、FETChクエリで問い合わせが可能な測定データも、新規測定の予定も無いためにエラーになります。
MEASureとFETChコマンドの違いは、MEASureコマンドが新規測定を開始して測定データを問い合わせするのに対して、FETChコマンドは新規測定をしないで測定データを問い合わせます。MEASureとFETChの有効な測定項目は同じで、出力モードの選択状況に依存します。
ファームウェアバージョン1.19以前のPCR-Mシリーズをご使用のお客様はこちらを参照してください。
*OPCコマンドには動作完了を待つ機能があります。動作完了は、実行中の待機中動作が1つもないことです。本製品は測定完了に最大330 msを必要とします。測定が進行中の時は、動作が完了していない状態です。測定が完了して、ほかの待機中動作がなければ、動作完了状態です。
*OPCコマンドが送信されると、本製品はOperation Complete Command Active State(OCAS)に移行します。測定が完了して、ほかの待機中動作がなければ、本製品はOperation Complete Command Idle State(OCIS)に戻って、イベントステータスレジスタのOPCビット(bit 0)をTRUE(1)にセットします。この情報は*ESR?クエリのOPCビット(bit 0)を確認すれば識別できます。
次に、新規測定を開始して*OPCコマンドを送信する例を示します。イベントステータスイネーブルレジスタとサービスリクエストイネーブルレジスタが動作完了イベントに対してSRQを発生するように調整されているため、測定が完了するとSRQ(Service Request)が発生します。RS232インターフェースを使用する場合には、SRQ機能を使用できません。
*ESE 1;*SRE 32;*CLS;:INITiate:IMMediate:SEQuence3;*OPC
<サービスリクエストの発生>
*OPCコマンドの代わりに*OPC?クエリコマンドを使用すると、本製品はOperation Complete Query Active State(OQAS)に移行します。測定が完了して、ほかの待機中動作がなければ、本製品はOperation Complete Query Idle State(OQIS)に戻って、出力キューに応答データ"1"(in NR1 format)をセットします。
INITiate:IMMediate:SEQuence3;*OPC?
レスポンスの読み込み
電源投入時、IEEE488 sdc/dcl、*RSTまたは*RCLを送信したときには、本製品はOCIS状態とOQIS状態になります。